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時々しか書けない本と映画の下手な感想文

映画・本ジャンル雑多な偏愛ど下手感想文。全力ネタバレ注意で。

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屍鬼(日本ホラー小説)

小野不由美氏に本格的に夢中になり始めた長い長い作品、
分厚いハードで上下巻、文庫で5巻あります。図書館で読み、
結局買いました。
余所者を受け入れるのを嫌う、内部では結束の固い外場村。
長閑で地味な民家のある村に派手で大きな洋館が移築され、
転居者が来る前から、徐々に元気をなくして貧血を起こし、
数日で死に至る「病気」が蔓延し始めます。
それなのに、死んだはずの人間の何人かは生きた肉体を
持って目撃され、ネズミ算式に死亡者は増えていく。
転居してきた一家「吸血鬼」の判断とした医者の敏夫と、
寺の若御隠の静信は、協力して調査を始めますが、村人の
死を食い止めて「屍鬼」を殲滅させようと考える敏夫と、
「屍鬼」も幽霊ではなく肉体を持って蘇ったのだから殺せない
と考える静信は意見が分かれ、村は屍鬼の狩りの開始と
共に、壊滅への道をたどっていきます。

文庫、1~2巻のダラダラさは、我慢して読むべし、という本。
とにかく登場人物が多い、いや、多すぎ、真面目に覚えてると
脳がスパークして死ぬ、wikiが必要です。でも、それを
見ながら、ちゃんと読み込まないと、ああ、あの時の、と
納得して、その人物の伏線が生きた気がしません。逆に、
その人物を覚えていて、かなり後に殺されたとか助かったとか、
その結末を読むからこそ、その文体に、表現に、舌を巻きます。
小野氏特有の、台詞がスラスラと滑るような書き込み方、
ユーモアある台詞も、隙のない小難しい台詞も、老若男女を
隔てることなく書き分けられています。わたしは、比較して
すみません、赤川次郎氏の小説に小学生時代一時夢中に
なり、中学生の途中で、はたと気づいて、中学生も高校生も、
普通の主婦も、こんな上品なセリフしゃべんないぞ、と思った
途端に嫌になり、その後ほとんど読まず、読んでも台詞や
文章を我慢するようになったんですが、小野氏のそれは、
全く自然でアニメ化されてそのまま使われても全然違和感なく、
人間の自然な言葉としてスムーズに流れ出します。
この、ホラーである作品も、最初は長閑な看護師の会話が
面白く、お互い年配になり、恰幅もいい看護師たちが
着替えながら、あたしたちだってトドの群れにまじりゃそう
捨てたもんじゃないんだから、と笑いあう、そんな台詞を
吐いていた、そして尾崎敏夫が、開院前にもう待合に多く
集まる老人患者たちに、老い先短いんだからしっかり食って
おけよ、みたいな台詞を吐く、そういうユニークさを持つ、
排他的でありながら、村の中は仲が良くて親交が深かった、
それを台無しにした屍鬼の沙子たち。

静信は、屍鬼を狩れない、殺せない、と言って、夜の間に
自分の本のファンだと喜んで会いに来る沙子と語り合い、
心を通わせていき、自ら沙子の屋敷に行き、血を与えて
死を選ぶことにしながら、狩りが始まれば、辰巳に頼まれ、
昼は死体に戻って眠ってしまう屍鬼の習性の沙子を
連れて逃げ、そこが自宅の寺だったことで、何も知らない
母や、働いてくれていた親子を、狩りの犠牲にしてしまった。
あ、でもその親子の克枝さん、寺にいれば安全、と断言
してたから、感づいてたんでしょうね。屍鬼は神聖な場所
には近づけない。なのに、三人とも、静信が寺に潜んだ
ことで惨殺され、克枝さんの遺体なんてどこにあるのか
判らない惨状。これが許せない。これをしたのが村人で
あることではなく、沙子を守ることしか考えていなかった
静信の引き起こした身勝手さが引き起こしたことだと
いうことが。
事実その間にも、半ば暴徒と化した村人は、どんどん
屍鬼を狩っていく。もし静信が、敏夫に意見したとおり、
屍鬼も生きている、というなら、沙子だけを逃がそうとせず、
村人たちの前に立ちはだかって、それを力説し、逃げ惑い、
殺されていく屍鬼全てを助けようとしなかったのか。
結局、思い入れのある沙子にしか興味がないからでしょ?
つまりはロリコン。30過ぎた僧侶が、もういつの時代からか、
13歳で時の止まった、見た目だけは少女の、屍鬼のボスに
心惹かれただけ。

狩りは、もう、どちらが正しいのかわからないと思わせる
小野氏の手腕はいつも通りです。
たとえば、寺の人間も次々手にかかっていく。
何故なら、静信の父である御院が、動かない寝たきりの体を
元に戻したくて、屍鬼を招待し(こうしなければ家に入れない)、
自分を連れていってもらって、屍鬼にしてもらったから。
そして、犠牲になった弟子の一人、鶴見は、死後、雑務をする
克枝の息子、光男に、寺に住め、と安全である方法を教える、
親しい人に対する人間らしい心を100%持ち合わせています。
なのに、その鶴見は真昼間に村人に惨殺され、光男は、
心根の変わっていない鶴見にそれだけのことをする村人の
ほうに戦慄を感じる…そういうシーンがところどころにあります。
ここは屍鬼が許せない、これは村人が残酷すぎないか、この
屍鬼はあまりにかわいそう過ぎる、これを、小野氏の筆力で、
そんな風に洗脳されるように、思考が持っていかれてしまう。

屍鬼は殺しちゃいけないのに、沙子にとどめを刺そうとした
大川は自分で殺すのか、静信?
僧侶だからどうこうではなく、命がある、心がある、そのことで
人も屍鬼も同じだと説いた、それは嘘だったのか?

帰ってきながら、どんなに飢えても血を吸うまいと、飢えに苦悶
しつつ化け物になるまいとした母の妙を狩りで惨殺され、位牌を
持って村を出ようと嘆く加奈美。
母を殺され、弟は帰ってこず、一人で戦う意志を固めたところに
襲ってきたのは死んだ父、それを絶望で泣き叫びながら撲殺し、
朝になって大人たちに温かな言葉を慰められ、それがもう、
全てを喪った後で遅かったことを悲しみながら、親戚を頼り、
自分から何もかも奪った親友の恵や共闘した夏野を忘れ、
家族の死因は塗り替え、村を出ることを決意したかおり。
屍鬼にされながら着替えを拒み経帷子で通し、看護師として
人の命を救い守る誇りを捨てないままで、血を吸うことを
拒否し続けて狩りの餌食になることを選んだ律子。
村の異変に気づき、伝染病でも何でもないことを感づきながら、
狩りが始まるきっかけになった祭りを背に、タケムラ文具店を閉め、
遠くで環境もよくない老人ホームに入所するために、僅かな
荷物を持ってバスに乗り、村を去るタツさん。
悲しくて、印象的な登場人物が多い作品でした。
かおりの弟、昭が前田巌に殺されるシーンは「うわ…」という残酷さが
あります。夜になると起き上る巌の側に縛り付けておいて時計を置く、
恐怖を味あわせる。時間は夕刻。
その昭の相好もつかない死体を見つけた、老人を含めた男たちの、
巌への、何かが弾けたような怒りに、ぎゅっと体に力が入りました。
そうだ、こいつは子どもを殺したんだ。これでいいんだ、と。
この村人の結束ぶりは、プラスにもマイナスにも極端に出ます。
だから、正義とも取れるし、暴徒とも取れる。
子どもを巌に奪われ、狂った元子が妙のことを通報して巌を焼き殺す
ために放火し、村は終わりますが、それは敏夫の言うとおり「負け」なのか。
人狼である辰巳は生死不明、沙子は静信が連れて逃げて無事、
村は消えて人々は離散、誰も外部の人間に何一つ漏らすことはない
結束力は、その後も続いていたけれど、奇妙なほど余所者を嫌う、
村内だけで固まっていればいいという村は消えた。
それは悲劇なのか、もうそんな村はなくなっていいのか。

だけど、人狼と化した静信が都会を、沙子を伴ってどこへともなく去る、
それはやはり許し難い…沙子にとっては人狼が必要、だから辰巳でなくとも、
いえ、むしろ大好きな本で心通わせた静信ならいうことなかった、そんな
関係を未来永劫続けていく、村をひとつ壊滅させておいて、それはないだろに。


ジャンプSQを2008年創刊2号から買い始めたのは、これが藤崎竜氏によって
漫画化されるのを知ったからですが、ありゃあ…という有様で。
読みましたよ、最終回まで読みました。
フジリューは、百数十人のキャラを描き分けることができるんです。だから、
それだけで選ばれたのかも知れません。ただね、子どもや学生とか若い人は、
コミックチックなんです。ただ、ある程度の年配…たぶん40後半以降ぐらいかな、
そういうキャラは、変にリアルな顔になるんです。
もうね、骨格から全然違う、異種の生物同然。ある程度の年齢を境に、
変種の生き物に変化しました、というような。
うちの次男に言わせれば、一定の年齢に達したら、別の漫画家の
作品になった、つまり別の漫画家とコラボで描いたような、
全く違う絵です。
これを我慢して読み続けましたが、高校生主人公的夏野、都会から村に
移ってきたことを嫌い、高校を出たら都会の大学に進むための努力を続け、
夫婦別姓の親が、自分たちを理解してくれているとのほほんと考えていることも、
もう無駄なことと冷めている、そして、彼に何かとつっかかる正雄に返す言葉は、
針穴ひとつ開いていなくて、何も言い返すことができない。
この夏野を…漫画でも、漫画からのアニメ化でも、生き返らせて人狼にして
しまったことが、最大の失敗ではないかと…。
SQ少年誌ですから、おっさんばっかりになっても読者去るだろうし、致し方ない
選択かも知れませんが、夏野が起き上らなかったことでの、血を吸った徹の
悲嘆があります。血を吸うことなんて嬉しくなかった、でも、吸わなければ家族が
犠牲になる。沙子、桐敷家はそういう手口を使う。
夏野は、村に生きて縛られるより、死んだままのほうがよかった。
村と縁があったと勘違いして、夏野を慣習通り土葬にしてしまい、夏野と親しい
徹の弟の保の、火葬にしてやれば煙になって村を出ていけたのに、という
言葉で、初めて息子の本心を知った夏野の父も、狂ってしまった漫画やアニメと
違い、原作ではそれを背負って狩りに最後まで加わった気の毒な人でした。

悲惨だったパイプライン。
逃げ込んだ細いパイプラインで、追ってくる村人が、一番後ろの屍鬼から次々
引きずり出すシーン。
家族と一緒にいたくて、夫も幼い息子も、優しい義父母も全て死なせ、誰も
起き上らず結局孤独に追いやられた奈緒の強い罪悪感と自責の思い。
それは人間のそのままだけれど、許されることはない。
これはねー…テレビ未放映で、DVD収録されているらしい、わたしは動画サイトで
観た1話が凄まじくて。
喫茶店クレオールの長谷川は、原作では早くに町を出ましたが、そこではパイプ
ラインでの殲滅に気後れしながら参加して奈緒の姿を見ており、引きずり出されて
捕まった屍鬼たちが、夜明けが近づいて眠る、それを縛り上げて朝を待つ、その
残虐な方法を見てられない優しい人なんです。
陽光を浴びると焼けただれて見る影もなくなって、暴れ、悲鳴をあげる、奈緒たち。
人間の心を捨てたような村人たちがしたり顔で見つめる中、長谷川だけは、
それを見ていられなくなり、一人一人、刺し殺して、楽にしていく。
この1話は、アニメでも強く強く、強すぎるほど印象に残りました。
観ないで音だけ聴いていた次男が、
「それ、情かけてやったんやろ?」
と訊いてきました。
いや、漫画が終わらなくて、追い越してしまったから、原作に沿った話になった
最後数話のアニメのほうが面白かったと断言できます。

でも、フジリューの絵は好きじゃありません。

親子三人、ながーいながーい小説に、何年も前から夢中になりました。
今でも時々、次男とはその話が出ます。






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