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時々しか書けない本と映画の下手な感想文

映画・本ジャンル雑多な偏愛ど下手感想文。全力ネタバレ注意で。

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死の国からのバトン(児童文学小説)

何だか「ふたりのイーダ」や「直樹とゆう子」で検索が増えていると思ったら、
作者の松谷みよ子さんが亡くなっていたんですね。
ご老衰とはいえ、ショックです。
この「死の国からのバトン」感想書きます、と言いつつ、「ふたりのイーダ」を
書いた昨年8月?から放っておいたので、わたしごときの個人的追悼の意味を
込めて、逆に無礼千万とは思いながら。

直樹とゆう子の物語第二段ですが、わたしは実は、こっちを先に読みました。
「ふたりのイーダ」が反戦であったのに対し、こちらは公害がテーマ。
今度は小正月(だったと思います)、6年生と5歳になった直樹とゆう子は、
亡き父の実家に連れて行かれることになりますが、何日も行方不明だった
猫のルウが、その朝帰ってこようとしたのか、部屋の側で泡を吹いて死んで
いるのが見つかります。
父の故郷は、死者が集まる山と言われている。
そこで崖から落ちた直樹は、川向うから「こちらに来るな」と止める大勢の人と、
その中にいる亡き父を見ます。
そして、「コドモセンゾ」である直七と出会い、山のばばさなど、不思議な
人外の存在との触れ合いから、汚れていく水や空気、汚染される食べ物、
その中で生きていく自分とその使命、何故ルウは死んだのか、それを知ることに
なっていきます。

「ふたりのイーダ」に比べて、ホラー色が強い。
だから引き込まれたと思います。
公害に関する怒りや悲しみも、児童文学にしておくには惜しい強さと深さがある、
これが松谷先生の作品。
当時、豆腐にはAF2という化学物質が入っていた、これもぼんやりと
習った記憶が残っていますが、わたしが就学した頃にはとうに
禁止になっていたそれを、直樹が祖父の家にいる間に、
遠い親戚が、それを豆腐によって大量摂取したために体を侵されるニュースを
偶然見て、一緒にいた親戚が嘆く…あまりに切ない痛みを伴う内容です。

直七と一緒に行く山は、普段の山とは違い、死者の空間としての山だろうと
思いますが、足腰も立たずに苦悶しながら登っていく猫の群れ。
ルウがいるのかいないのか、探そうにも探せない。
それを救うのは、山のばばさの迸らせる乳汁だけで、必死でなめる猫たちは、
ようやく安らかに眠りについていく。
山のばばさは、直樹に、猫は次はお前たちだと告げたかったんだ、と言う。
人の垂れ流した毒によって苦悶死した猫たちを、本来なら日向で体を丸めて
安らぐのが猫であるはずなのに、誰がこんな目に遭わせたのか、と悲しむ
山のばばさの言葉が丸く鋭く痛い。

水俣病。
この山の舞台は、おそらく架空の地ながら、第二水俣病を意識していると
思われます。
ルウが死んだ原因も最後に解明され、東京湾で海釣りをしていたおじさんが、
好意で多くの猫に魚を与えていた、その猫たちが苦悶して踊り狂い始め、
驚いてそれを届け出た、つまり東京湾の汚染も進んでいるということでした。

水を綺麗に。
土を綺麗に。
空気を綺麗に。
もうやり直しが効かなくて、そんな簡単なことでもなく、
だからこそ怒りと悲しみに満ちた悲鳴が上がる。
起きてしまったことはなかったことにできない公害病。
四大公害病のみならず、これからどんなことが起きて来るかわかりはしないし、
今現在、わたしたちの体内にどれだけの毒が蓄積されているか、
もう麻痺してしまって、それがどうした?というレベルになっているだけでしょう。

この作品の後、ゆう子は13歳にまで飛んでしまったので読んでいませんが、
もう少し小刻みな年齢設定で、つまり二人がまだ子どもである年齢の間に、
不思議な告発的児童文学が読みたかったということだけが残念です。

子どもである、それがやはり重要なファクターになる部分があり、
反戦、反公害、それにあまりに無知で無力だった直樹が、
丸腰でその現実と向き合ったこの二作品を、
松谷みよ子さんの中の「直樹とゆう子」シリーズの大名作と、今でも
敬意を表して手元に置いています。



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Comment

★ こんばんは ★ 

個人的で申し訳ないのですが、水俣と聞くと懐かしく思います。

大学時代、労働災害を研究テーマにしていた関係で、水俣病事件は避けられない事柄でした。何度も通って、患者さんに話を聞いたり、患者の多発地域をまわりました。
石牟礼道子さん・土本典昭さん・佐藤真さん・原田正純さん等々、水俣病事件にかかわった方々の本・映画に触れることが出来、私自身、人として生きる指針になっています。

大半の方は、水俣と言う地域に良いイメージはないと思いますが、水俣という所は、風光明媚で農産物・海産物・温泉もあって非常に良いところでしたね。

今の10代・20代の感受性の多感な世代に
是非行ってほしい場所です。
  • posted by 蘭丸 
  • URL 
  • 2015.03/10 20:55分 
  • [Edit]
  • [Res]

NoTitle 

蘭丸様

小~中学時代に公害病授業に力を入れられていた時代を育ちました。
「ブラックジャック」で、この水俣病を元にしただろうエピソードがあり、コミックスでは読みましたが、息子に買った文庫では、息子は「見たような気がする」と言っていて曖昧なようです。
魚を食べて朦朧とした飼い猫が海に飛び込んで浮かんでいるシーンに、子ども時代号泣しましたが、その後母が白髪になり、骸骨のような手足になり、その時には既に魚を食べるなと触れ回られていて…遅いんです。

発展には何かしっぺ返しが来るのか、それは必然なのかと思えてしまう公害問題を描いた本ですが、登場人物たちは弱者です。
踊り狂って泡を吹き、命を落とした飼い猫が、主人公の少年の元に、亡き父と共に穏やかな姿で会いに来たラスト近くに、心まで毒に侵されてはいなかったことに救いを見出したような気がした、そんな記憶があります。
  • posted by ざくろ 
  • URL 
  • 2015.03/10 21:15分 
  • [Edit]
  • [Res]

NoTitle 

ざくろ様が仰るとおり、必ず繁栄の裏には影があります。それにいち早く気づいて対処すれば問題は大きくならないのですが、時代の流れ・POWERは、それを許さない。結局、被害をこうむるのは弱者。

魚が浮いてきたり、ネコや犬が狂って海に飛び込んだり、カラスが落ちてきたりと・・・
最初の犠牲者たちは、知らせてくれていたのに・・・
こういったことを知ると、絶望感に襲われるんですが。
闇は深く、そこに入り込んでいくと、迷い二度と出れなくなる。知らなくてもいいことまで知ってしまう事を、知恵の悲しみと言いますが、それを味わいたくないと思いつつ、今、福島のことを考えています。
  • posted by 蘭丸 
  • URL 
  • 2015.03/10 21:44分 
  • [Edit]
  • [Res]

NoTitle 

蘭丸様

毒を体内に持たない生き物は今やいないかも知れませんね。
そうやって生きていくしかない、添加物だらけ毒塗れの肉体をこの年齢まで抱えてきた理不尽さを感じますが、いつでも弱い生き物から犠牲になり、侵されて死んでいく。
ふと、サリドマイド事件を思い出しました。
当事者でないので、やはり深く言及はしないことにします。
  • posted by ざくろ 
  • URL 
  • 2015.03/11 21:35分 
  • [Edit]
  • [Res]

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